読み手の視線、聞き手の視線

今週のお題特別編「素敵な絵本」

絵本、大好きです。

幼稚園に読み聞かせが上手な先生がいて、そこからぐんとはまって大人になる今までずっと大好きなまま20代も後半を越えています。

絵本の読み聞かせのボランティアも10年以上、今でも月に一度行けるときにやる感じでゆるく続いています。


初めて読み聞かせをした時のことが、今でも忘れられません。
選んだ絵本は[ぼちぼちいこか]でした。

ぼちぼちいこか

ぼちぼちいこか

幼稚園で最初にはまった絵本。これしかないと当時の私は思い家から持っていきました。
一生懸命読みました、何度か練習もしていたし、内容は頭に入ってるのですらすら読めたと思う。言い回しも工夫した。やりきった充足感と緊張感とともに初めての読み聞かせを終えました。

子供たちが帰った後、おなじ読み聞かせをやる方からこんな言葉をもらいました。

「読み方について、ひとついいかな、
絵本をね、自分に向けて読んじゃいけない。絵本を傾けるなら子供に見えるように下に向けないといけない。どんなに自分が読みづらくても絵本を楽しむのは子供たちであって読みきかせる私たちではないんだよ。
きちんと子供の目線で考えようね」

当時中学生だった私は相当衝撃を受け、同時に顔がカーッと熱くなってしまったことを覚えています。何も言えませんでした。
自分本位の姿勢で読み聞かせをしてしまったことにさえ気づいてなかった自分が猛烈に恥ずかしくて仕方ありませんでした。



その経験から、どんな絵本でも必ず子供に見えるよう、伝わるよう、角度や絵本選び、読み方などを工夫し続けて今に至ります。

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・今日は赤ちゃんに近い年齢の子が多いから、文字がたくさんの絵本はだめだな、絵がわかりやすくて、読んだ時の音が面白い、短い絵本にしよう。

・お正月なら鏡餅が動き出すあれかな、田植えが始まるころにはおにぎりの絵本、雨が多い時期には夏の話や雨の日の過ごし方の絵本、

・女の子が多いから、かわいい絵で、髪の長い女の子のお話や、女の子が主人公のお話もいいかな。

・あの恥ずかしがりの子には、自分から入って来てもらえるように、外からでもお話がわかるようにいつもより大きめの声で読んでみようかな。

・キャラクターが歌っているお話の中心の歌があるなら自分なりに節をつけて歌ってみたり。

声の強弱大小老若男女、だれがどのセリフを言っているのかわかるほうが面白いか、わからないほうが面白いのか、

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考えうることは全て尽くして読んでいます。

あの日、きちんと指摘してもらえてよかった。あの猛烈な恥かしさを覚えているからこそ今があります。


絵本を素敵なものだと知ってもらえるよう、今月も私は絵本の読み聞かせをします。