東北おやつ紀行【読書】

家の鍵を忘れ締め出された為
閉館直前の図書館に駆け込んで借りた数冊の内の1冊がじんわり面白い。
他には江戸めしのススメという本も借りている。
どうも食に関するエッセイが好きなようだ。

東北おやつ紀行 という本。

東北おやつ紀行

東北おやつ紀行

まだ途中だが、なんともいえずじんわり面白くて通勤途中に読みすすめている。
どこかふらりと旅をして、地元の菓子店・和菓子屋等に乗り込み土地特有のお菓子を頬張りたくなる本だ。

東北各地のおやつを食べつつ旅行をしている著者のコラム。
ゆったりとした時間の流れと目線で、一緒にのんびり旅行している気分になる。
くらげの水族館、風船を飛ばすイベント、ねぶた祭り、美術館、博物館…


そして冬の寒さの描写が楽しい。
こちらが寒くなってしまうようなものではない気がする。
寒さを受け入れていること、それが日常であるからかしら。
一緒にもこもこに厚着して寒いねーといいながら、誰かと一緒に歩くような、そんな気分だ。
著者の方は、同行者の方と一緒に時にはひとりでも淡々と楽しんでいる。
また、土地土地の人と軽く会話をして由来を聞いたり商品の説明を受けていた。
そんな交流も旅の醍醐味なのかもしれない。


夏の仙台しか東北を知らない私には、目新しい情報がたくさんだ。
いつか東北に行く際の参考にもなるんではないかと思う。


東北のお菓子にはくるみがよく使われるような気がした。
くるみが好きなので、なんだか出るたびに嬉しくなる。


著者の方が愛知県出身とのことで伊賀まんじゅうが出てくる。
知っている菓子が出てくるのは嬉しいものだ。

ちなみに私の地元にも一つ特有の歌詞がある。
名を[油菓子]という。
簡単に言えば、ちょっと固めのドーナツである。
形は煮物に使うこんにゃくのようにねじった形が多い。
お雛様の季節に、各家庭でお店で作られている。
カリカリにあげる家もあれば、ちょっと柔らかめにする家もある。
てっきり全国区なお菓子かと思えば、
そんなことは全くなくすごく狭い範囲の菓子であることに衝撃を受けたものです。


そんな知られざるお菓子が、全国にたくさんあるんじゃないかと思わせてくれる
そして、そのお菓子を探し出して楽しんでみたいと感じる一冊でした。


震災前の取材ということで発行が遅れたようですが、
それでもあたたかい記憶として著者の方に残るお菓子と旅の記憶に、
書籍化という形で触れられたことは、しみじみ幸運であると思う。